川本梅花 フットボールタクティクス

【無料記事】U-24日本代表についての雑感(3)スペイン代表戦で、なぜ上田綺世はプレスに行かなかったのか?【コラム】

【コラム】U-24日本代表についての雑感(3)スペイン代表戦で、なぜ上田綺世はプレスに行かなかったのか?

8月3日に行われたU-24日本代表対U-24スペイン代表の試合。見終わったら疲れてしまいました。久しぶりに、すごい力を入れて緊張して代表の試合を見ました。見終わったら疲れてしまって、TVの前からしばらく動けませんでした。惜しい試合、悔しい試合でした。

この試合で僕が気になったのは、65分に林 大地と交代してピッチに入ってきた上田 綺世のプレーです。上田は全くプレスに行きませんでした。なぜ上田はプレスに行けなかったのしょうか?試合を見返すと、その理由が浮かび上がってきます。本人から話を聞いたわけではないので、あくまで憶測になりますが……。

上田はプレスに行かなかったのではなく、プレスに行けなかったのではないでしょうか?2つの理由が考えられます。

  1. 合流以前に負傷。メキシコ代表戦、フランス代表戦、ニュージーランド代表戦に出場して走れるコンディションではなかった。
  2. 堂安 律と久保 建英が1人でゴールを決めようとするプレーをしたので、上田にボールが回ってこず、後ろに下がってボールをもらうようなプレーになった。

1は僕の憶測です。上田はきちんとプレスに行く選手なので、この試合での動かなさは信じられない出来事でした。あんなにもプレスに行かないと、守備の体系が変わってしまいます。スペインが簡単に後方でボールを回して、FWに縦パスを入れられる場面が何度もありました。板倉 滉が身体を投げ出して食い止めて得点には結び付かなかったのです。ケガが完治していない状態でプレーしていて、3試合続けてプレーしたことで、ケガが悪化した。そうした理由ならば、スペイン戦での上田のプレーは納得できます。

2は選手の関係性にあります。堂安と久保はパサーよりもレシーバーなので、ボールをバイタルエリアに持ち込み、1人で決めようとします。1人で決めようとすることが悪いのではありません。状況を考慮する必要があるということです。後半の中盤に林から上田を起用した理由をもっと考慮したプレーをしても良かったのではないのかと思うのです。

ピッチに入ってきた上田に全くボールが入らない状況が続きました。上田はもちろん、状況を打開するために、後ろに下がってボールをもらいにきます。上田のプレーにつられて、久保までが下がってプレーする場面がありました。そうすると、上田がゲームから消えてしまう。上田がボールに触れるチャンスがないままゲームは進んでいきます。上田のプレーを見ていて、どうしたらいいのかプレーに迷いがありました。森保 一監督が上田を起用した意味を、ほかの選手はもっと考えるべきなのです。

以上のことから、僕の考えは、「上田はプレスに行かなかったのではなく行けなかった」になります。一方で林は無理やりプレスに行っている場面がありました。この試合のFWは「プレスに行き過ぎる林とプレスに行かなすぎる上田」でした。

川本梅花

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