川本梅花 フットボールタクティクス

【レビュー】失点は防げたのか?【無料記事】J3第30節 #ヴァンラーレ八戸 1-1 YS横浜

【レビュー】失点は防げたのか?

【目次】
ミラーゲームでスタート
失点は防げたのか?
疲れが見られた選手と調子を上げてきた選手
対象試合:2020明治安田生命J3リーグ第30節 ヴァンラーレ八戸 1-1 Y.S.C.C.横浜

ミラーゲームでスタート

ミラーゲームとは、両チームが同じシステムで戦うことを言います。以下のシステム図を見てください。

両チームとも3バックシステムの「3-5-2」を選択してきました。細かく記せば「3-3-2-2」になります。このシステムだと、選手同士が1対1で対面するのは、ウイングバック(WB)のポジションになります。どちらのWBが高い位置を取り、相手WBを押し込めるのかがポイントになります。

中盤のアンカーは、両脇に相手がポジショニングするため、1対2の数的不利となります。しかし、誰が「見る」かはっきりしなければ、アンカーはビルドアップの起点となり、ボールを自由に動かすことが可能となります。

失点は防げたのか?

八戸のスターティングメンバーを見て「どうして!?」と思いました。左ストッパーに深井脩平ではなく、佐藤和樹を起用したからです。前節・ガイナーレ鳥取戦(2〇1)における深井のプレーを見れば、当然、今節もスタメンだと思っていたからです。ベンチ入りをしていることが、余計に「どうして!?」という思いを強くします。

また佐藤を起用するならDFではなくWBだと、私は認識しています。これまでの守備で、何度か危ない場面があったことも理由の1つですが、佐藤のキック力を考えれば、WBかSH(サイドハーフ)がベストな気がします。後半開始から深井を左ストッパーに置き、佐藤をWBで起用したため、深井のコンディションの問題ではなさそうです。ただ、外部の人間には分からないチーム事情があることは想像できます。

問題は、八戸の失点は防げたかです。YS横浜MF佐藤祐太のゴール(13分)は、もし深井が対峙していたら、どうだったか。この場面、実際にYS横浜の佐藤と対峙したのは、八戸の佐藤です。ペナルティエリア内だったため、八戸の佐藤はもっと相手に近寄る必要がありました。少なくともシュートを打たせないように、距離をつめなければいけない。もちろん近づきすぎると、ドリブルでかわされる危険性が生じます。しかしYS横浜MF佐藤はカットインしてきたため、もっと早く判断して距離をつめるべきでした。

疲れが見られた選手と調子を上げてきた選手

この試合で気になったのは、疲れが見られた選手と調子を上げてきた選手がいることです。疲れが見られた選手の1人が、WB國分将です。國分には珍しくパスミスが多く、動きも精彩を欠きました。体が重そうに見えました。一方で調子を上げてきた選手の1人が、ストッパーの黒石貴哉です。黒石がバイタルエリアから打ったシュートは相手に当たり、YS横浜ボールとなった場面がありました。YS横浜はすぐさま、前線で待っていた宮本拓弥にパスを出します。この時、黒石は全力で戻り、ボールを持つ宮本に追いつくのです。スタミナもあってスピードもある。なおかつ守備意識が高い。彼は、チームにとって必要不可欠な選手になる可能性があります。

試合しか見ていませんが、難しいチーム状況で、選手たちが必死にプレーを続けていることは分かります。チームに残ると決めている選手に、チームから離れようか迷っている選手。さまざまな思いを抱いて、選手たちはピッチに立っています。選手たちには残りの試合で、存在意義を示すようなプレーをしてほしい。私は、期待しています。

川本梅花

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