川本梅花 フットボールタクティクス

【インタビュー】#小幡純平「意識改革をしないと、昇格は難しい」【無料記事】#ラインメール青森 #reinmeeraomori

小幡純平「意識改革をしないと、昇格は難しい」

JFL(日本フットボールリーグ)所属ラインメール青森FCの昨季成績は勝ち点36の13位だった。J3昇格への1年間だったはずが、残念な結果となってしまった。J3に昇格するためには、いくつかのハードルがある。順位だけでなく観客数やスタジアムなども条件になる。昨季は順位だけでなく、観客数も全く目標の数字に届いていない。望月達也監督がチームを率いて3年目となる2020シーズンは、チームにとっても監督自身にとっても結果が求められる。

2016年にFC琉球から移籍してきたMF小幡純平は、北国のチームに来て4年目になる。前監督の葛野昌宏(現ヴァンラーレ八戸ヘッドコーチ)時代から青森を知る選手は、小幡をはじめ3人しかいない。チームには若い選手がどんどん移籍してきて、全く違うチームになっている。31歳になった小幡は、現在のチームに対してどんな思いがあるのだろうが。昨季の後期シーズンを前に、右足首の骨折で手術を受けた彼が、今季どうやってチームに貢献しようと考えているのか。副キャプテンだった昨季を振り返りながら、今季にかける思いを語ってもらった。

――昨季は厳しい1年間だったね?

小幡純平 そうですね、夏以降、左足首を骨折して手術をしました。後期はリハビリで全く試合に出られませんでしたから。いまは、みんなと一緒に練習しています。

――シーズン前半は試合に出ていたけど、チームの状態はどうだったの?

小幡 僕が試合に出ていた時、前期に関してですが、まあちょっと、守備の部分ではっきりしないことが多かったですね。選手個々の判断で攻撃も守備もやっている感覚を持っていました。チームとしてすり合わせが、なかなかできないような状態でプレーをしている感覚です。

――試合を見て思ったんだけど、約束事がきちんとあるのかな、と疑問を持ったんだよね。選手のアイデアに任せている印象だったんだけど。

小幡「これこれは」というはっきりとした決まり事は、チームとして持っていませんでした。局面局面において、「こういう風に守ろう」とか、「こういう風に攻めよう」という形はあったんですが、チーム全体に浸透しきれませんでした。結局は、選手の判断の部分に委ねられることが多かったと思います。

――選手同士で話し合いはしなかったの?

小幡 もちろん、やりました。試合に負けて、練習試合でも負けた。その後で選手が集まって「こうしよう」「ああしよう」という話をしました。したんですが、選手の中で考え方のズレが大きくて、すり合わせが難しかったです。

――リーグ後期になって、チームの変化はあったの?

小幡 自分がケガをした時点で、シーズンはもう試合に出られないと思ったので、チームを客観的に見ることができました。そんな中で、僕が試合に出られなければ、代わりに誰かにチャンスができる。チャンスがなかった選手が試合に出て、「頑張っているな」と素直に見ていました。僕がケガをした何試合かは、調子が悪い状態を引きずっていました。でも次第に「ボールを大事にする」という共通の認識がチームに浸透してきたのかなと映りました。

――シーズンも終盤になってから、ソニー仙台FCとかHonda FCのような強豪と戦っても、引き分けられるようになったよね。

小幡 点を取られても後半に追いつく形が増えてきましたね。ボールを持つ時間が増えたことが大きいと思います。監督は「焦れずにボールを持って」ということを言い続けてきましたから。「全体でボールを大事にしよう」。そう言ってきたのが、結果として現れたのかと。次の段階は、そこからもう一歩と言うところです。攻撃に関して言えば、そこからどうやって崩していくのか。「もう一歩」のところまでは来ていたのですが。

―― 昨季はサイドハーフをやったりセンターハーフをやったりしたよね。小幡くん自身の適正ポジションはどこだと思う?

小幡 サイドは得意なポジションだと思います。でも「絶対にサイドじゃないと」という考えは持っていません。ボランチのポジションに関しては、自分の能力がどうかなのか分からないんですが、ボランチの場所で望月(達也)監督が求めているプレーを自分なりになんとなく感じてやっているつもりです。与えられたポジションや役割を頑張る。そうした気持ちしかなかったですし、そうした気持ちしか、いまもないです。

――これは昨年引退した奥山泰裕(現ラインメール青森アカデミーコーチ)くんが言っていたことだけど……。小幡くんのボランチは「若い選手の中で逆サイドに振られたきちんと全体で合わせてスライドできる選手がいないので、統率役として起用していたんじゃないか」と。プレーしていてそうなの?

小幡 ボランチのポジションには若い選手が多いです。彼らは、周りに合わせたりとか、味方の選手に気を使ってプレーするとか、そういうところがなかったです。そういう意味で、真ん中のポジションで使われていたと思います。

――昨季の13位という順位についてはどう思う?

小幡 単純に情けない。昇格を目標にやってきて全くほど遠い順位になってしまった。本当に情けないし、チャンスがあったのに、もったいないと思いました。これは自分のケガも含めてですけどね。

――昇格の条件をクリアする面で、観客動員数が足りないだったらまだ分かるんだよね。ラインメールは、現実的になかなか人が集まらない。1試合で500人集めるのも難しい現状だ。それは仕方がない面もある。でも、いかんせん成績が、となると話にならない。来季についてはどう考えてるの?

小幡 守備の部分の不安定さがシーズンを通してずっとありました。そのことは、攻撃にもつながってくる部分だと思います。チーム全体としてどうやって守るのか。ある程度の決まり事、大枠がないとなかなかうまく行かないと思います。来季は、そこが大事になってくると感じました。昇格を本当に考えるなら、ゲーム展開によって割り切った戦い方が必要だと考えます。はっきりさせて、確実に勝ち点を積み上げていく必要がある。

――今季はメンバーがガラッと変わるよね。望月さんの前のチームを知るのは、純平、小栗(和也)くん、横山(卓司)くんくらいか。彼ら以外の選手は、望月さんの体制になってからの選手たちだね。

小幡 メンバーを見ても、やり方を見ても、全く違うチームになりました。チーム全員がもう少し意識をいい方向に持っていかないとならない。そうした意識改革をしないと、昇格は難しいと思います。

――そうした意味でも、今季からコーチが来るんだよね。いままで望月さん1人でやっていて、大変だったと思う。練習メニューから、対戦相手の分析から、本当に何から何までやっていた。さすがに、いくら経験豊富な人でも1人で背負い込むのは厳しいよ。

小幡 いまは練習から山崎真コーチが来てくれています。すごく指導力のある方だと思っています。守備の部分で細かく指導してくれますし、トレーニングの中に守備の部分も組み込んでくれます。

――コーチの人がいるだけでだいぶ違うよね。ところで、今季は新しい選手が多いけど、気になっている選手はいるの?

小幡 太田康介さん(←FC今治。FC町田ゼルビアやツエーゲン金沢でプレー)ですね。36歳になる選手で、統率力があって若い選手とも上手にコミュニケーションが取れる。そういう選手がいると、チームに締まりが出てくるんです。ポジションもセンターバックなので、守備の面の規律がはっきりするのではと期待しています。

――統率力と言えば、河端和哉(現札幌大学サッカー部監督)くんのようなタイプなの?

小幡 いやいや、河端さんと比較はできないですよ(笑)。

――まあ、そうだね(笑)。最後に、来季の目標を聞かせてくれる?

小幡 確実に、試合に出ることです。どのポジションで起用されるのか分からないんですが、チームのためになるように常に動きたいです。それが昇格につながっていくと信じています。そうした姿勢で100パーセント、取り組んでいきます。

川本梅花

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