川本梅花 フットボールタクティクス

【連載】守備のスタートラインはどこからですか?【1日1回読むだけで身につくサッカーの見方の基礎知識】

【1日1回読むだけで身につくサッカーの見方の基礎知識】

守備のスタートラインはどこからですか?

守備のスタートラインとは、相手選手がボールを持っている時に、プレスをスタートする位置のことです。どこからプレスを始めるのかによって、そのチームがボールを奪ってからどのように攻撃するのかがわかります。なぜならば、どのラインからプレスをかけるのかは、ある程度、チームの約束事になっているからです。プレスをスタートする場所は、3つのエリアが挙げられます。

①相手陣内の高い位置からプレスを開始する。

②ハーフライン前後からプレスを開始する。

③自陣に入ってからプレスを開始する。

①の場合、ショートカウンターを狙っているチームは、相手陣内の高い位置から、相手のディフェンダー(DF)にプレスを掛けます。相手のDFがボールを持ったなら、フォワード(FW)が、ものすごい勢いで襲いかかるようにボールにプレッシャーを掛けに行きます。ボールを奪ったならば、手数を掛けずに得点を奪うためにゴールに向かいます。

高い位置からプレスを掛けることを「ハイプレス」と言いますが、この守備戦術は、全力でプレスに行くので、それだけ選手の体力の消耗度が激しいのです。したがって、試合開始10分は高い位置からプレスを掛けて、次にハーフラインからプレスをスタートするなど、時間帯や点差によって、プレスのスタートラインを変えるのです。

②のハーフライン前後からプレスを開始するチームは、攻撃から守備へ、あるいは守備から攻撃へ移行する際に、バランスを重視します。ボールを奪っても、無理にショートカウンターに行かずに、ボールを大事にしながら攻め込んでいくやり方を取ります。相手のDFが、センターハーフ(CH)にボールを出した時にプレスに行きます。なぜならば、CHがボールを持った際に、前を向いてボールを受けていれば、縦パスを出されてピンチを招きます。そうした芽を摘むためにも、CHがボールをもったらプレスを行うのです。

③は、ロングカウンターを戦術的な柱にしています。自陣内のバイタルエリアあたりでプレスを開始します。相手チームにあえてボールを持たせて、プレスに行く様子をうかがいます。ボールを奪った瞬間に、前線の味方の選手が裏のスペースに飛び込むのです。人数を掛けないでボールをゴールまで運びます。

チームが、どこから守備をスタートさせているのかを見れば、そのチームの攻撃のやり方も見えてきます。

川本梅花

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