川本梅花 フットボールタクティクス

【インタビュー】#奥山泰裕「何かを成し遂げてから引退したい」【無料記事】#ラインメール青森 @reinmeer_aomori #JFL

奥山泰裕(ラインメール青森)「何かを成し遂げてから引退したい」

何かを成し遂げてから引退したい

-――今季を振り返って、どう感じてるの?

奥山泰裕 これは毎年思うことです。早いなと(笑)。もう1年終わりなのかと。今季の前期は、試合に出られませんでした。後期になってから、試合で使ってもらえるようになりました。だから、悪いことから始まったシーズンでした。でも結局「良い時もあれば悪い時もある」という1年間だったのかなと思います。

――今季のラインメール青森FCは、J3に昇格できるチャンスがあった。昇格への土台ができた。でも観客動員数と順位が伴わなかった。ジレンマはあった?

奥山 最終節がFC今治だったので、どちらかが勝ったら昇格できる、そんな面白い展開になれば良かったのですが、ふたを開けて見たら、今治だけ昇格ということになりました。J3に上がる土台というか、僕たちは、今季ダメだったら全てが終わるというわけではない。もちろん1日1日が勝負の気持ちはあります。しかし観客動員数も順位も、チームとして全然届かなかった。そうした中で、僕たちが持っている最大の力を出して、全てにおいて全力でやることに意味があるんだと、あらためて感じています。

――前期は、あまり試合に絡めなかった。それは若手に切り替えたいという監督の考えがあったから?

奥山 そういう考えもあったかもしれません。直接監督には聞いていないので。僕も11月21日に誕生日を迎えて34才になりました。萬代宏樹や菊岡拓朗も34才の同い年です。彼らを即戦力として連れてきたわけですし、ほかのJFLチームと比べても、客観的に見て選手のレベルは高いと思います。そうした計算できる選手たちと同時に、若い選手を積極的に使い、どれだけできるかを試したかった。そういう意図はあると思います。キャンプとか練習を見ていて「行ける」と思ったから、監督は使ったのでしょう。でも若手を使ったことで、思うような成績が出なかった。そこで僕に出場機会が回ってきた。試合に出た時、ある程度のことができたから、継続して使ってもらえた。それは良かったと思います。

――監督は、試合に使う使わないことで何か言ってきたの?

奥山 特に何も言われていません。試合に出られなかった時に「自分が出たらこうしよう」と考えていました。具体的には「しっかりクロスを上げて終わった方がいい」「ここに追い込んでボールを奪った方がいい」と。そういうことをベンチからずっと考えていました。試合に出た時に「俺はこれをやる」と。人との違いではないですが、俺の時は「こう守る」「こう攻める」と。“色”じゃないですけど、“味”を出そうと思っていました。そうした考えを実際にプレーで見せたことが、いまのチームの、こうした感じにハマっているのかと思いますね。

――今季は通算9勝12敗で勝点36の13位。厳しいシーズンだったね。

奥山 最悪の結果として降格がなくなりました。正直に言って、ちょっと安堵感が出た時期もありました。勝ててはいないですが、Honda FCやソニー仙台FCといい試合をしています。勝たないといけないのですが、勝点を取れている。だから、ドン引きで守っていての1-1ではなく、少しずつ、選手としての手応えじゃないですが、こうやって行けばHonda FCやソニー仙台FCに勝点が取れる。先制されても、自分たちのサッカーをきちんとやれば、なんとかなる。追いつける。ラインメールのサッカーって、こういうのだよねと。漠然と固まってきている印象が選手の中にあると思います。チーム構成に関して、あと一歩のところまで来ている。

――「4-2-3-1」で戦っているの?

奥山 そうですね。「4-4-2」のFWが縦関係。あるいは「4-5-1」と捉えられます。和田響稀と萬代の2トップです。和田は降りてきてピックアップしてドリブルを仕掛けていくのが好きなタイプです。萬代は、相手のラインを下げさせるように頑張って降りてこないようにプレーしています。そうした攻撃のやり方です。

――菊岡選手は左サイドハーフ(SH)なの?

奥山 後期からSHが定位置になっています。サイドになってから守備が安定し始めています。

――センターハーフ(CH)は、小栗和也と法師人将大のコンビなんだね。

奥山 オグ(小栗)はボランチの方が持ち味が出ます。ボールを受けて運ぶプレーが彼のストロングです。サイドにいるより真ん中でどんどんボールに絡ませて展開力もあるので、持ち味が出てきました。

――小栗選手はJFL選抜海外遠征選手に選ばれたからね。あれはクラブ推薦なの?

奥山 いや今回は、チームの監督をやるHonda FCの井幡博康監督が選んだと聞いています。

――来季の契約に関しては、話はまだだね。

奥山 契約の話が遅いんですよ。最終節が終わってから5日以内にはですね。

――望月達也監督も、来季で3年目になる。もっとリアリストにならないと、来季も同じ成績にしかならない。少し、やり方を考えた方がいい。東京武蔵野シティFCのように守ってカウンターを選んだチームの方が、JFLでは強い。どこまで割り切れるのか。そこの腹を決めないと、今季よりも上に行けないと思う。最後に、来季に向けて、話してもらえるかな。

奥山 僕は、現実的な方向に舵(かじ)を切ってくると思います。だから、どんなサッカーをやろうとするのか、僕自身は楽しみです。今季は昇格できなかった。自分の出場時間も足りていない。チームとしての成績も足りていない。全く満足の行かないシーズンでした。最後は、強豪と言われるHondaFCやソニー仙台FCに引き分けて勝点を取れるところまできた。チームとして成熟度は上がってきていると思います。来季こそは、目標の4位以内を絶対に達成したい。34才になったので、1年1年、引退も近づいてきていると思うので、何かを成し遂げてから引退したと思います。だから、結果を残してから引退したい。そうした自分にプレッシャーを掛けて、最後の戦いに臨みたい。

川本梅花

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