川本梅花 フットボールタクティクス

【連載】ビルドアップの目的を忘れていませんか?【1日1回読むだけで身につくサッカーの見方の基礎知識】

【1日1回読むだけで身につくサッカーの見方の基礎知識】

ビルドアップの目的を忘れていませんか?

以下のコラムでビルドアップについて話しています。ここでは、試合を見るポイントとして「攻撃の局面」をピックアップします。それには、ビルドアップが深く関わっているのです。

【連載】ビルドアップのやり方を観察すればそのチームの弱点が見える【1日1回読むだけで身につくサッカーの見方の基礎知識】

試合が進んでいくと「局面」というものが出てきます。局面は大きく分けて4つに区分されます。

①「攻撃の局面」

②「守備の局面」

③「攻撃から守備の局面(攻守の局面)」

④「守備から攻撃の局面(守攻の局面)」

4つの局面を図で示せば以下のようになります。

「攻撃の局面」に関しては、チームが「ボールを持っている時」に起こるものです。その時に、チームがどのようにゴールを目指しているのかを見るのです。つまり、「ビルドアップ」と「アタッキング」のやり方に注目しましょう。

ビルドアップ(buildup)とは、「組み立て」の意味です。サッカーでの意味内容は次のようになります。ゴールキーパー(GK)のゴールキックから始まり、ボールを繋いで、ゴールを狙える最終段階のアタッキングまでのプロセスをビルドアップと言います。たとえその過程が、1本や2本のパスでも、20本のパスを繋ごうともビルドアップと言うのです。

「アタッキング」に関して、それはどの場所なのかを示した図が以下になります。ピッチを横に3分割してエリアを捉えることができます。

ビルドアップには、いくつもやり方があります。ボールだけが動くビルドアップもあれば、ボールと選手が動くビルドアップもあります。また、前線に選手がどんどん上がっていって、数的優位を作ろうとするビルドアップもあります。それらすべてのやり方を総称し、攻撃に繋がる組み立てを「ビルドアップ」と呼ぶのです。後方から前方にボールを運んでいる状態になければ、ビルドアップとは言わないのです。ビルドアップと言えば、「ボールを後方からきれいに繋いでいく」というイメージを持つ読者がいるかも知れません。それは、正しくないのです。

ビルドアップは、攻撃までのプロセスのことを示します。例えば、相手のディフェンス(DF)の裏にスペースがあったなら、味方の選手がそのスペースに飛び出してパスを受けた場面もビルドアップと見なします。また、サイドバック(SB)が裏のスペースに走り込んでいき、味方のDFからのロングボールがSBに通ったとします。それもビルドアップと言うのです。

ビルドアップの目的は、アタッキング・サードまで、どのようにボールを運ぶかにあります。ですから、パスの本数には全くこだわる必要はないのです。ビルドアップの本来の意味が、ゴールに行くまでの過程であることを忘れると、中盤できれいにボールを回しているだけのプレーになってしまいます。それは、大きな履き違えだと言えます。

川本梅花

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