【サッカー観戦術/監督采配】監督の仕事は試合前に8割は終わっている
【サッカー観戦術/監督采配】
■監督の仕事は試合前に8割は終わっている
監督の仕事は、試合前に8割は終わっています。そう言ったならば「そんなことはない」という反論があるかもしれません。しかし、実際はそうなのです。いえ、言い換えましょう。監督の仕事は試合前に7割は終わっています。
なぜ7割なのかをこれから説明します。監督の仕事で最も重要なのはなんだと思いますか?一言で言えば「準備」です。試合に備えていかに素晴らしい準備ができるのか。そこが監督の力の見せどころなのです。監督にはいろいろなタイプが存在します。人間の性格が人それぞれ違うように、監督にもそれぞれのタイプがあります。したがって、各自がそれぞれのやり方を持っているのです。タイプが違う監督たちであっても、共通していることがあります。それは、試合の準備に関する手順です。自分たちのチームについて、さらに対戦相手についての研究と分析が、監督の仕事の大きさを占めています。対戦相手の長所と短所を分析して対策を立てる。また、セットプレーの分析に費やす時間は、現代サッカーでは欠かせないものと言えるでしょう。
試合の準備は、前の試合が終わった瞬間から始まっています。基本的な「準備」の流れを示します。もちろん、そのチームによっても内容は異なるのですが、基本的にはこんな感じです。それはスカウティングへの指示から始まります。
●スカウティングスタッフの仕事
――スカウティングスタッフが、対戦相手の直前の試合をチェックする。
――スカウティングスタッフが、対戦相手の戦術的な特徴について、詳細な分析レポートを作る。
――分析レポートに基づいた対戦相手の長所と短所を自分たちの選手に理解させる場面を15分くらいに編集した場面作成(監督、スタッフ、選手が観賞するための場面編集)。
スカウティングされた内容をもとにチームに落とし込んでいきます。
●監督の仕事
――監督(とスタッフ)による対戦相手の分析に対応した戦術トレーニングメニューと、先発メンバー選出、コンディション調整メニューの作成と実行。
――試合直前のミーティングで自分たちのチームが試合中にどうやって振る舞うのかについて情報を選手にインプットする。
「戦術の対策」と「コンディションの対策」、さらに「モチベーションの対策」が監督の仕事になります。モチベーションとは「メンタルの対策」とも言えます。現代においては、前の試合でミスをした選手へのケアや試合に出られない選手へのフォローなど、選手に対する配慮も監督の重要な仕事の1つになってきています。
こうした「準備」を経て、チームは当日の試合に向かうのです。ここまでが、監督が行うべき7割の仕事になります。残りの3割は、試合が始まってから監督ができる仕事になるのです。監督は、試合が始まってしまうと、「選手交代」と「ハーフタイムでの指示」など、できることが少なくなっていきます。ですから、「準備」がいかに大切なことなのかが分かると思います。
監督が優秀であるかないかの見極めは、「準備」の段階でいかに練られた情報をチームに落とし込めるのかにあります。監督の意向が、どれだけチームに落とし込められているのか。それは、試合の中に現れ出て、結果に反映してきます。