川本梅花 フットボールタクティクス

【サッカー観戦術/ゲームの流れ】システムとはなんですか?

【サッカー観戦術/ゲームの流れ】

システムとはなんですか?

「フォーメーションとはなんですか?」のコラムで登場してもらった高校生のHくんと監督のAさんの会話を通じ、「システム」の説明をします。

A監督はHくんにこんな質問をします。

「フォーメーションは1-4-4-2だったね。それはどんな風に配置されていた?」

「最初の1はゴールキーパー(GK)です。次の4はディフェンダー(DF)が4 人横に並んでいます。中央にセンターバック(CB)の2人、両端にサイドバック(SB)の2人です」

A監督の質問は続きました。

「じゃあ、中盤の4人と2人のフォワード(FW)はどんな風に並んでいた?」

「ミッドフィルダー(MF)は、2人のセンターハーフ(CH)と2人のサイドハーフ(SH)がボックス型に並んでいました。2トップのFWの2人は横並びの関係です」

ピッチの書かれた携帯用のボードにA監督は、Hが述べた順番に従って油性フェルトペンで◯をつけながらボードに記し終えます。

「システム」とは、実際にフィールドの上で選手がどのように配置されるのかを示したものです。数字を表記するだけの世界から、その数字が平面のフィールド上に配置され、図式化できる世界を「システム」と呼びます。「システム」によって、それぞれの選手の役割が細かく分けられます。つまりシステムを理解することで、チームが具体的に何を選手に求めているかが分かってくるのです。「システム」の見方としては、DFのライン、MFのライン、FWのラインと言った具合にそれぞれをラインで捉えてから、そのラインにいる選手がどのような形を作っているのかを見るのです。

「フォーメーション」と「システム」という概念を混同してはいけません。「フォーメーション」は「1-4-4-2」という試合でのスタートポジションの並びを記述しているだけです。「システム」と言った場合、それぞれのポジションに動き方などの約束事を設けて、チームとして機能するように選手に役割を与えて作られています。同じフォーメーションでもシステムによって動き方が変わる場合があります。例えば、「1-4-4-2で中盤がボックス型」と「1-4-4-2で中盤がダイヤモンド型」では、それぞれの選手の動き方が変わってくるのです。システムが理解できれば、チームの基本戦術も分かってきます。

次は、戦術について話します。

〈了〉

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