川本梅花 フットボールタクティクス

【連載】ビルドアップのやり方を観察すればそのチームの弱点が見える【1日1回読むだけで身につくサッカーの見方の基礎知識】

【1日1回読むだけで身につくサッカーの見方の基礎知識】 

ビルドアップのやり方を見よう

Jリーグのチームもビルドアップのやり方がだいぶ変わってきました。ゴールキーパー(GK)が大きなボールを前線の選手目掛けて蹴るチームよりも、GKからディフェンダー(DF)にボールが渡って、ビルドアップを開始するチームが増えています。その際に、相手のチームのフォワード(FW)が、ボールを持つDFにプレスに行った時に、DFはGKにボールを戻して組み立て直す場面が見られます。その時に、GKがボールを近くにいる味方の選手にショートパスを出して組み立てるのか。それとも、GKが大きくボールを蹴ってしまうのか。この場面でGKがどのようなプレー選択をするのかで、そのチームがどれほどポゼッションサッカーに傾倒しているのかがわかります。

J2リーグの中で、ポゼッション志向が強いと見られるチームとして愛媛FCが挙げられます。11月3日に行われたJ2リーグ第39節のFC町田ゼルビア戦で、GKにボールが戻される場面が何度もありました。取り上げるシーンは、1-0で愛媛がリードしている前半38分からです。その時に、GKの岡本昌弘がどのようなプレー選択をしたのか見てみましょう。図で示せば次のようになります。

味方のDFがGK岡本にボールを渡します。それは、町田のFWがプレスのスイッチを入れてボールを追いかけ始めたからです。ボールを受けた岡本には、いくつかの選択がありました。岡本が選択したのは、FWの西田剛にロングフィードを蹴ることでした。岡本の右側に茂木力也がボールをもらいに降りてきています。状況からして、1-0で勝っているゲームなので、リスクを回避するために大きなボールをFW目掛けて蹴ったのでしょう。しかし、蹴られたボールは、西田が相手と競り合った結果、ボールは相手DFに渡ってしまいます。

実は、愛媛がポゼッションサッカーを志向してゲームを支配しても、勝利に結びつかない原因がここにあるのです。徹底的にボールを保持して攻撃することにこだわれないのです。相手のプレスを回避するための大きなボールを蹴ってしまう。蹴ること自体は問題ないのですが、それがことごとく相手のボールになってしまうのです。そうすると、ボールを保持していても、すぐに守備に回ることになるので、ボールを保持してゲームを支配できないことになってしまうのです。

ポゼッションサッカーで重要なのは、ビルドアップに関わる選手の足元の技術と状況判断だと言えるのです。

川本梅花

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