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川本梅花 フットボールタクティクス

【コラム】#フアンエスナイデル 前監督が見せた表情…そこから浮かび上がる仮説とは【無料記事】#jefunited #ジェフ千葉

フアンエスナイデル 前監督が見せた表情…そこから浮かび上がる仮説とは

本文目次
異様なまでの声を上げていた千葉関係者たち
脳裏に焼き付いた前監督の表情
フアン エスナイデル監督、最後の対戦相手は?

異様なまでの声を上げていた千葉関係者たち

志知孝明が左足をコンパクトに振り抜く。蹴られたボールはGK鈴木椋大の脇を通り抜けてゴールネットに突き刺さった。「ウォー!」という大歓声がスタジアムに鳴り響く。後半のアディショナルタイムまで先制点を守っていたジェフユナイテッド千葉の選手たちはピッチに座り込む。その時、私の背後から「ドン」と手で机を叩く音がした。「ああ、ダメか」と呟(つぶや)く声がする。机を叩いた主は、ゲーム終了を告げる主審の笛を待たず、席を離れる準備をしている。

私はいつも決まった記者席の場所を利用する。それは最後尾の1つ前の座席である。最後尾の席は「スカウティング」や「アウェイのスタッフ」のために用意されている。従って私の背後にいた人々は、千葉の関係者たちである。試合中、得点シーンの歓喜の声や失点を喫した際の落胆の声は、これまで聞いたことがないほど大きかった。普段はスタジアムの記者席にいても、あれほどまでの叫びに近い声を聞くことはない。千葉のスタッフたちの感情を前面に出した一喜一憂に驚かされた。

ホームで2連敗しているからと言って、開幕4試合目にしては「少し騒ぎすぎだろう」という考えしか、その時は頭に浮かばなかった。そうした考えが間違いだったと気付かされたのは、試合取材を終えて帰宅する途中のことだった。

「フアン エスナイデル監督解任」の知らせがツイッターから流れてきた。最初は腑に落ちなかったが、スタジアムの出来事を総括すると、次のような仮説が浮かび上がる。

千葉の関係者で、試合に勝てなかった場合に「解任」の可能性があることを知らなかったのは、エスナイデル本人だけだったのではないのか。

そうとしか考えられないぐらい、記者会見におけるエスナイデル前監督の表情は前向きだった。

脳裏に焼き付いた前監督の表情

明治安田生命J2リーグ第4節・水戸ホーリーホック戦の重要性を、エスナイデル前監督は十分に理解していたはずだ。試合分析の記事と重複になるため簡単に記すが、水戸戦でも「ハイライン・ハイプレス」を捨て、勝ちにこだわる戦術を採用した。しかし、結果は1-1の引き分けに終わる。

開幕から4試合勝ちなし。それでもエスナイデル前監督は、水戸戦の内容から、今後の戦いに手ごたえをつかんだという表情を見せる。それは記者会見のやり取りからも分かる。

「キャンプから取り組んできたことがこの試合では表現されていたように思われたのですが、監督の評価を聞かせてもらいますか?」

ある記者からの質問に、エスナイデル前監督は「具体的に何?」と聞き返す。記者は次のように説明する。

「守備に関して、前から行く時と行かない時、守備の安定の部分についてです」

前監督は、記者の顔を見ながら頷(うなず)く。

「それは、トレーニングしてきたことですから。良かったと思います。ただ、それだけでは十分ではありません。勝たなければいけない試合でした」

この時のエスナイデル前監督の表情が、私の脳裏に焼き付いている。「よくぞ聞いてくれました」と言いたげな表情で、記者の質問に答えていたあの姿からは、数時間後の「解任」を想像することはできなかった。いや、本人も全く予想していなかったのだろう。

フアン エスナイデル監督、最後の対戦相手は?

試合終了から数時間後の解任発表。常識的に考えれば、水戸戦の結果次第で「クビにする」という既定路線がひかれていたはずだ。邪推かもしれないが、そうであれば、試合中に見せた千葉スタッフの反応は納得できる。彼らは、後半アディショナルタイムに喫した失点の意味を知っていたのではないか。

エスナイデル監督にとって最後の戦いとなった水戸ホーリーホック戦。「フアン エスナイデル監督、最後の戦い」。この試合のことを、きっと多くの人は忘れてしまうだろう。それは彼の戦う相手が対戦相手ではなく「自分」だったからだ。

自分の信じた戦い方では結果を出せず、方向転換をした末に解任されるという皮肉。前監督が最後に戦った相手は間違いなく「彼自身」だった。それでは、勝利の女神は振り向かない。内情を知らないため、うかつなことは言えないが、間違った方向転換をする前に、監督を解任できなかったフロントの罪は大きい。そして、このことが、ジェフユナイテッド千葉の長きにわたり低迷する原因の1つに思えてならない。

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